独学 vs 先生に習う。バイオリンを始めるには、どっちがお勧め?
バイオリンを始めようと思ったら、独学と、先生のレッスンを受けるのと、どちらの方がいいのだろう?
今はネットで何でも調べられる時代。
YouTube にも沢山のバイオリン解説動画があがっているので、ネットで独学でも弾けそうな気がしますよね。独学なら月々のレッスン代も支払わなくてすみますし。
実際のところ、独学で、弾けるようになりますか?
結論
いきなりですが、初心者は、独学ではあまり上達しません。
先生についた方がいいと、私は思います。
先生に習った方がバイオリンが上達する、6つの理由
音感が養われる。音痴になりにくい。
バイオリンは「ノンフレット楽器」です。弦を左手でおさえて、音程を自分で作る必要があります。フレットがあるギターと違って、1mmズレると音程が変わります。
音程感覚が身についていない初心者は、指板上の指を押さえる位置に先生がテープを貼って、手と耳で感覚を覚えます。
感覚を覚えたらテープを外して、後は「耳」で音程の高低を判断して、音程を自分で作っていきます。先生についていれば、テープを貼っているうちから生徒の音程(耳)を修正し、正しい音感を身に付けることができます。
大人からでも、正しい音程の指導を受け続ければ、バイオリンを弾くのに必要な音感は身に付きます。
逆に、プロに正しい音程に導いてもらわないと、間違った音程感覚が身についてしまいます。音痴な音しか出せなくなります。
正しい奏法、ボーイングが身につく
独学の方の多くは、正しい奏法で弾けていないことがほとんどです。
正しい奏法で弾けてないと、合奏するときに周りと音や弓を綺麗に合わせることが出来ません。
バイオリンの弓を動かすことを「ボーイング」といいます。
多くの曲では、弓を根元から先までの全てをつかい、ダイナミックな動きが求められます。
独学だけでバイオリンを弾いてきた人で、綺麗なボーイング、弓を根本から先まできちんと動かせる人を見たことがありません。
弓の真ん中だけで「ちょこちょこ」っとだけ、動かしているいる人がほとんどです。
他にも、2~4つの弦を一度に弾く重音、音を跳ねさせるとばし、などバイオリンにたくさんの奏法(技術)があります。独学の方はそこまでは弾けないか、弾けてるようにみえても綺麗な音が出せていないことがほとんどです。
綺麗なバイオリンの音を奏でられるようになりたい人は、先生について、正しい奏法、美しいボーイング技術を身につけましょう。
変なくせがつかない。正しいフォームが身につく。
先生に習いに行くと、まずは楽器の持ち方から始めます。
ここで、正しい楽器の持ち方を身に着けられるかどうかで、上手く弾けるようになるかどうかが変わる、と言っても過言ではありません。
正しいフォーム(姿勢)で弾くと、余分な力が抜け、弓が正しい角度で弦にあたり、バイオリンらしい綺麗な音が出ます。
初心者に多い綺麗な音が出ない人は、正しいフォームで弾けていないと言えることができます。
教えるのが上手な先生は、生徒さんの個性に合わせて、教え方や教える内容も柔軟に変えられます。
ネットの独学では、自分の個性にあったフォームを教えてもらうことは出来ませんよね。
先生のアドバイスを頼りに、自分に合ったフォームを探しましょう。
楽譜が読めるようになる
音楽歴がない人は楽譜を読めない状態からスタートすると思いますが、バイオリンを弾くには、徐々に楽譜を読めるようになる必要がありますね。
本やネットで譜読みのドリルを進めてもいいですが、答えを間違って認識してしまうと、間違ったまま覚えて、定着してしまいます。
私はピアノを弾いていた子供時代に、半音下げるフラット(♭)と半音上げるシャープ(♯)を逆に覚えてしまいました。
1,2年後に間違っていたことに気づき、認識は訂正されたのですが、その後数年間、瞬間的にどちらか分からなくなることが良くありました。
悪い癖が染みついてしまったのです。
また、初めての曲を弾くときは自分で譜読みしてレッスンに挑みますが、読み間違いがたまにあります。
臨時記号を見落としていたり、複雑なリズムを見間違えてたりします。いつも、レッスンで先生に修正していただいています。
譜読み違いの修正も早い方がいいです。
間違った認識のまま練習を進めるて悪い癖がついてしまうと、後から治すのはなかなか難しいのです。
先生に間違いを正してもらいながら、正しく楽譜を読めるようになりましょう。
効率の良い練習法を教えてくれる
先生につくと、短い練習時間でも、効率よく確実に上手くなる練習法を教えてもらえます。
時間に追われて生活している大人・社会人が練習時間を確保するのは中々難しいので、これは重要ですよね。
例えば、自宅で個人練習をする時は、何度も1曲を最初から最後まで通して弾くより、弾けない箇所を抜き出して繰り返し練習する「反復練習」をした方が早く上手くなります。
私は他にも、ポーイング、ポジション移動、ビブラート、とばし弓などの難しい技術を習得する時に、短時間でも効果が得やすい練習方法を教えてもらいました。難しい技術はいきなり習得は出来ないので、いくつかの段階に分けて、少しづつ段階ごとの練習方法を習いました。
合奏の基本やマナーが身につく
レッスンで先生との合奏を通じて、合奏の基礎、自分以外の人との音の合わせ方を身につけることができます。
合奏団体でのバイオリン隊は「プルト」といって二人一組で1つの譜面台を共有してみます。
先生に予め「アンサンブルからアマオケで弾けるようになることが目標です。合奏の基礎も教えてください。」と伝えておけば、レッスンで「合奏中は、客席から向かって奥側の人が譜めくりをするんだよ。」などといった、合奏に参加するときの基本的なマナーや習慣、楽譜の書き込み方のコツなどを伝授してもらえます。
アマオケや合奏練習は個人レッスンの場ではありませんので、分からないことは聞けば教えてもらえますが、手取り足取り1から10まで全てを教えてもうら時間はありません。
何より、自分が「分からないこと」を知っていれば人に聞けますが、「何が分からないか分からない」「分かっていないことに気づかない」場合は聞きようがありません。
中には、初心者のアマオケの参加条件として「先生に習っていること」を条件とする団体もあります。
先生からは、バイオリンの技術や練習方法だけではなく、合奏の習慣やマナーも教えてもらいましょう。
先生に習ったほうが上達する理由6つをあげましたが、文字だと分かりづらいですね。
実際にバイオリンを持って弾いてみてから、この記事をもう一度読んでもらえると、より理解・実感いただけると思います。
先生は、自分では気づけない間違いを教えてくれる
先生は、生徒が間違ったことをしていたら、正しい方向へ修正してくれます。
独学は、そもそも「間違っていること」ということになかなか気づけません。
気づかないから、修正も出来ません。そしてそのまま悪い癖が身に付いて、終いには直せないレベルになってしまいます。
例えば、バイオリンの音を綺麗に出すには弦に対して直角に弓をあてる必要があります。独学の人は、その知識はあっても、客観的に見て間違いを指摘してくれる人がいないので、結果的に斜めに弓をあてながらも「直角に当てられている」と思い込み、間違った癖がついてします。
また、「ちりめんビブラート」というものがあります。
本人はかけているつもりでも、実際にはかかりきっていない下手なビブラートのことです。一度癖がついてしまうと、独学では自分で気づくのが難しいし、気づいたとしても直し方が分かりません。
その後に先生について直そうとしても、一度身についてしまった癖の修正には時間がかかります。長いと年単位かかります。結局、直らない人もいます。
(ビブラートをかけられる人が、表現の1つとして意図的にちりめんビブラートをかけるのなら、全然okです。)
プロを見ても「独学で、誰にもに習わずにコンクールで優勝した。」という方はいません。プロフィールの音楽歴をみると、必ず師匠の名前が記載されています。
適切な先生について、適切なアドバイスをもらって練習をしたからこそ、彼らはプロレベルまで上達したのです。
独学で間違った練習をする、悪い癖がついてしまうということは、それまでに練習して積み重ねてきた時間をムダにしてしまう、ということでもあります。これは大変もったいないです。
初心者だからこそ、客観的に自分を見てくれて、個別アドバイスをくれる先生の存在は重要です。
何事も、始めが肝心。
「今は弾けないけど、将来的には上手くなりたい」と思っているなら、変な癖が身体に染みついてしまう前に、最初から良い先生につくことをお勧めします。
何となく弾いている風で楽しむなら独学でも十分?
「そんなにうまく弾けるようにならなくてもいい、なんとなく音が出せて楽しめたら十分」という人は、独学でも構わないかもしれません。
今はYouTubeでプロの方がバイオリンの弾き方動画をたくさん公開しているので、独学もしやすくなりました。
音を少しなぞるだけで十分楽しめる、ビブラートも綺麗にかけられなくていい、という方は独学でもいいかもしれません。レッスン費がかからないから、安上りですしね。
でも私は、せっかく楽器を用意して貴重な時間をつかうのなら、バイオリンをより楽しく弾けるようになって欲しい、綺麗な音を出せた時の快感を知ってほしいな、と思います。
まとめ
●悪い癖を直すのは大変。最初から正しい癖を身につける方が簡単
●「何となく音を出すだけ」で良いのなら、独学でもいけるかも
大人がバイオリン教室に通うことを想定して書きましたが、学生さんなら学校の先生や先輩、トレーナーに習うという選択肢もあると思います。