「大人からバイオリンを始めても、弾けるようにはなれないと聞いた。」 「人並みに弾ける様になるまで、お金と時間はどれくらいかかるんだろう?」 「仕事しながらでも出来るの?」 これは、そんな大人・社会人で「バイオリンに興味はあるんだけど、疑問や不安があって始められない」人のための記事です。
大人がバイオリンを始める5つのメリット
バイオリンは音色が美しい
バイオリンはとても美しい音が出せます。
プロレベルの天使の歌声のような美音を出すのはなかなか難しいです。ですが、そこそこ綺麗な音なら、大人から始めてもきちんと練習すれば出せるようになります。
大人からバイオリンを始めて、ウットリする音を奏でるハイアマチュアレベルまで到達した人はたくさんいます。 私は、ビブラートを習得して曲に表情を少し付けられるようなったら、それまであまり良い顔をされなかった家族に、曲のほんの一部分ですが、音色を褒められるようになりました。
多彩な表現が可能
バイオリンの音域はとても広く、4オクターブとピアノの半分程。
また奏法も、普通に弾く、強い勢いで弾く、跳ねる、指で弾く、重音、それらを弱く/強くと、とても表現の幅が広い。
直感的に多彩な表現が出来るバイオリンは、ピアノよりもストレートに感情表現が出来ます。
誰かと合奏したりアマオケ活動が楽しい。交友も広がる。
ある程度弾けるようになると、アンサンブル、弦合奏、アマチュアオーケストラ(アマオケ)等に参加して、他の人との合奏にチャレンジ出来ます。
最初は人に合わせるどころか、自分の音を出すの精一杯でしょう。でも、続けていけば嫌でも慣れて上手くなります。
普段はそれぞれの生活を送っている赤の他人が、フルオーケストラで100人も集まって音がピタリと合うと、なんとも言えない達成感に満たされます。 さらに大ホールで何百人のお客様から拍手喝采を頂けると、本当に感動ものです。
アマオケなど演奏団体には、本当に多種多様の老若男女が集まります。打ち上げで一杯飲みながら自分の知らない世界の話が聞けるので、それも楽しみの1つです。
もし飲み会や人付き合いが苦手な方は、飲み会を休むこともできます。仕事や接待ではないので。「家族を待たせてるので」と、練習後は足早に帰られる方も多くいます。
仕事効率があがる。ワークライフバランスが促進される
私は社会人しながらバイオリンを弾いてますが、「早く帰ってバイオリン練習したいから、この仕事は早く終わらせよう!」と気合が入ります。
特に発表会やオーケストラなどの本番前は、定時内に仕事を終わらせようと必死です。早く帰りたいために、仕事中は業務効率を上げることを常に考えています(笑)
認知症予防や体力維持にも?
「頭も指も使うから、認知症予防に始めたんだよ。」 と、60過ぎにチェロを始めたステキなおじい様がおっしゃてました。
「この歳になると出来ないことが増えるけど、楽器は練習すれば出来ることが増えるから楽しい。楽器を弾いたり、レッスンやオケの練習に外出するから、体力も維持出来る。何より、退職後 家に引きこもらずにすんで妻も大満足だよ(笑)」 と。
老人ホームでも、認知症予防に指を使うオカリナやリコーダーを楽しむそうですよ。
大人からバイオリンを始めて、弾けるようになるのか?
大人からバイオリンを始めても、上手くなります。
私は社会人から始めて約2年半で、会社勤めをしながらアマチュアオーケストラで何百人もの来場者の前で弾くことが出来ました。
大人から始めてのでは”演奏で収入を得るプロ”になるのはほぼ無理でしょう。ですが、大学生や社会人から始めて数年後には謝礼有りのエキストラ(ピンチヒッター)をしている方や、さらに研鑽を積まれてパートトップ、コンサートマスターを務める人はたくさんいます。
なので、大人から始めても、自分次第でアマチュアオーケストラで十分楽しんで弾けるレベルにはなれます。
もちろん、それなりの練習やレッスンは必要です。ですが、プロや難関音大を目指すわけではないので、社会人をしながらでも楽しみながら何とかなります。
実際に私は会社勤めをしながらアマオケで弾いています。平日はあまり練習できていませんが、出社前に練習したり、帰宅後5分だけでも楽器をさわるようにしてます。繁忙期は平日はなかなか弾けないので、週末だけの練習です。
大人と子供の違い
大人は、自分で決めて、自分のペースで進められる
「仕事が忙しいので、今回は発表会は休もう」
「この曲がやりたい、あっちの教本がいい」
「クラシック苦手なので、アイリッシュが弾きたい」
「先生と相性悪かったので別の先生のレッスンにしよう」など、
大人は自分で判断して弾きたい曲や練習ペースを融通できます。
私も仕事の繁忙期は思い切って1か月レッスンを休んで、落ち着いたら復帰、を繰り返してます。 大人は自分で判断して弾きたい曲や練習ペースを融通できます。
私も仕事の繁忙期は思い切って1か月レッスンを休んで、落ち着いたら復帰、を繰り返してます。
ネットや本で自主的に情報を調べられるのも大人の強みでしょう。
これが子供、特に幼児期なら、方向性やペースは大抵は親が決めるものでしょう。
「子供時代は親にクラシックしか弾かせてもらえなかった。大人なった今、やっと自分の好きな映画やアニメの曲を弾いて楽しめる。」という人もいました。 私も仕事の繁忙期は思い切って1か月レッスンを休んで、落ち着いたら復帰、を繰り返してます。
大人は集中して、理論的に学べる
3, 4歳の子供なら10分も練習すれば飽きてしまいます。
多くの先生は最初の5分は歌って練習、10分楽器を弾いて、5分は譜読み練習の様に、子供が飽きずに楽しく練習出来るように工夫しています。それでもレッスン中に子供の機嫌が悪くなったり、寝っ転がってしまう子もいます。
幼児期から1日何時間も弾く子は一握りの天才だけです。
それに比べて、大人は初心者でも長時間集中して練習が可能です。
始めたばかりの人でも、30分程度のレッスンは可能でしょう。
そもそも大人は自分の意思で楽器を始めます。親に言われて何となく、あるいは嫌々弾いているような子供も中にはいますが、大人は好きで始めるから、頑張れるのです。
また、言葉や精神が発達途上の子供と比べて、先生は「言葉」で「理論的」に大人の生徒へ教えることが出来ます。同じ初心者でも、理論が通じない幼児より大人の方が始めのうちは進度が早いことが多いです。
ただ、体や神経の使い方を身体が覚えてそれが染み付くスピードは、子供の方が断然早いので、脱初心者〜中級レベルあたりで子供には抜かれます(笑)
また、子供時代からまじめに辞めずに練習続けていた人は、経験年数が長いので、圧倒的に上手い。 なお、私の周囲のアマオケでは大学生〜社会人から始めたという人が大多数です。
何歳から始めても、遅くはない
60, 70代でバイオリンを習い始めたおじい様おばあ様もいらっしゃいます。
普通にオーケストラで弾いてらして、すごくカッコいいです。そんな方を何人も知っています。 バイオリンに限ったことではありませんが、いくつになっても新しいことは始められます。
「もう歳だから、私が始めるには遅い」なんてことは絶対にありません。
一般的に的には若いうちの方が物覚えが良いので、興味を持ったらその時点で早めに始めたほうがいいです。とはいっても、60代以降でも決して遅くはないので、バイオリンに興味をもった時点で、ぜひ始めてみてください。
バイオリンを始めるには、お金はどれくらいかかるの?
バイオリンにかかる費用は、楽器、レッスン、演奏レベル、練習頻度と時間、などによって様々です。
バイオリンを始めるにあたり”取り合えず”かかるお金は、下記を目安にしてください。 主に「楽器購入などの初期費用」と「定期的にかかるお金」に分けられます。
- 初期費用)
- 楽器(本多+弓+ケース+付属品): ピンキリ。 8万~〇〇億円
- 譜面台:1,000円 ~
- チューナー: 1,500円〜5,000円
- 教本代:1,500円〜 (教本の種類、冊数にもよる)
- 定期的にかかるお金)
- レッスン代*: 5,000円 ~ 2,3万円/月(レッスン回数、時間、レベルによって様々)
- 弦 交換: 4,000円~1,6万円/年2回
- 弓毛 交換: 5,000円~2万円 /年2回(半年に1度)
- 費用を抑えたい人は、弦交換や弓毛交換頻度を少なくすることも。
※費用を抑えたい人は、弦交換や弓毛交換頻度を少なくすることも可能。
※*初心者から一通りの演奏技術が身につくまでは先生につくことをお勧めします。
他に、楽器のメンテナンス費や、追加の教本・楽譜購入費、アマオケなどに所属すると参加費・団費なども生じます。
費用詳細、節約のコツ、小道具・消耗品の詳細説明は、長くなってしまうので別の記事にまとめますね(執筆中)
アマチュアオーケストラに参加出来るレベルまでは、時間はどれくらいかかる?
一言といえば、人によります。
レッスンの頻度や、飲み込み・要領の良さ、何より練習量と頻度によって、全く違ってきます。
過去にピアノなど別楽器の経験があって、音楽の基礎があり、楽譜が読める人は上達スピードは比較的早いです。
また、入りたいアマオケのレベルにもよります。
楽器初心者歓迎の楽団から、入団オーディションがあるセミプロレベルのアマオケまで、ピンキリです。
初心者歓迎のアマオケの”入団”を目指すとした場合、早い人は1年ほどで参加しています。
中には楽器を持ってから半年後にオケ本番、という猛者もいます。
しかも、これは音楽歴0、最初は楽譜も読めませんという方の話です。
私は他の楽器経験があったので、楽譜は少し読める状態で始めました。
アンサンブルに初参加したのはバイオリンを始めて約1年半。アンサンブルの初舞台は始めてから約2年。
アマオケは、団体参加は始めてから約2年、初めてのオケ本番はバイオリンを持ってから約2年半後でした。
ちなみに、バイオリンの先生からは進度が早い方と言われました。ここの先生は基礎固めを重視しているので、教室全体の平均進度は、大手楽器店の教室に比べてゆっくりめです。
ただ、入団後、”アマオケで一人前に弾けるまで”となると、もう少し研鑽が必要です。
バイオリンを始めてから、アマオケに参加までの流れ
アマオケに参加することを目標にした場合の、大まかな流れです。
- とりあえず、体験レッスンに行こう
- 自分と相性の良い先生を探して、生徒になろう
- 楽器を探そう(購入 or レンタル)
- レッスンに通おう、家でも練習しよう、楽譜を読めるようになろう
- 様々なボーイング技術を身につけよう
- ポジション移動を習得しよう
- ビブラートを習得しよう
(※技術を習う順序は、個人、先生の方針によって人それぞれ)
取りあえずポジション移動を覚えたら、初心者歓迎のアンサンブルやアマオケを見学してみるといいですよ。
見学に行くと「頑張ればついていけそうだから、やってみようかな」「自分はもう少し腕をあげないと皆んなについていけないな」と、自分のレベル感、方向性や足りないものが見えてきます。
繰り返しになりますが、”アマオケで一人前に弾けるレベル”には上記では足りていません。
初心者は、合奏では弾ける箇所だけを弾いて、弾けないところは“弾いている風”でごまかします。(上手く観客にバレずにごまかすには、それはそれで高いごまかすスキルが必要です(笑))
オーケストラ曲が一通り弾けるには、クラシックで良く言われているのは「モーツァルト 協奏曲が弾けるレベル」です。 ただ、早めにオケの世界に飛び込んで、揉まれながら頑張って上達していく人の方が多いです。
アマオケの詳細は別記事でご紹介します(執筆中)
最後に
もしバイオリンに興味が出てきたら、とりあえず体験レッスンに行ってみませんか?
趣味として始めるかどうかは、体験してみてから考えればよいのです。
体験レッスンで「やっぱり、自分には合わない。」と感じたら、楽器を買わずにやめればいいだけです。